「どんなものが燃え殻にあたるのだろう?」
「燃え殻はどうやって処理すれば良いのだろう?」
上記のような疑問をお持ちの方のために、燃え殻の基本的な知識を分かりやすく・詳しく解説します。
産業廃棄物の1つである燃え殻(もえがら)は、処理方法が法律によって定められています。
正しく処理をするためにも、以下のような知識はきちんと知っておきたいものです。
燃え殻とばいじんの違い
燃え殻の処理方法
燃え殻のリサイクル
なるべく専門用語を使わずに解説しますので、安心して読み進めて下さい。
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燃え殻とは?

「燃え殻」とは産業廃棄物20品目の中の1つで、物を焼却した後に残る灰や燃え残り(焼却残さと呼びます)のことです。「燃えがら」「もえがら」と表記する場合もあります。
事業活動にともなって生じた燃え殻は、どのような業種からであっても産業廃棄物になります。ですので生ごみや木くずのように、一般廃棄物のごみとして処分することはできません。
処理する際には法律で定められた正しい方法で取り扱う必要があります。
燃え殻のうち、重金属などおよびダイオキシン類を一定以上含む場合は、特別管理産業廃棄物の扱いになります。
特別管理産業廃棄物とは、廃棄物処理法で「爆発性、毒性、感染性その他の人の健康又は生活環境に係る被害を生ずるおそれがある性状を有する廃棄物」と定められています。
つまり、人に被害や悪影響を及ぼす可能性があるものは、取り扱い方法が変わるということです。
通常の産業廃棄物と比較すると、排出から処分までの過程でより一層厳密な管理が必要となります。
燃え殻とばいじんの違い

もえがらとばいじんは形状に違いがあります。
ばいじんは物を燃やした時に発生・飛散した微粒子を集じん設備で集めたものです。一方もえがらは、物を燃やした後に底に残った燃えかすのことを言います。
具体的には、電気炉ダスト、バグフィルター捕集ダスト、製紙スラッジ焼却ダスト、廃砂ダストなどが挙げられます。
ばいじんは外部への飛散を防止するため集じん機などで集める必要がありますが、燃え殻は底に残ったものなので集じん機等の装置は使用しません。
燃え殻同様、ばいじんも産業廃棄物のため、法律に則った処分が必要です。
ばいじんに関しては、「【5分で分かる】ばいじん(煤塵)とは?処理方法や排出基準を詳しく解説」の記事で詳しく解説しています。
燃え殻の具体例

燃え殻にはどんなものがあるか、以下に具体例を挙げます。
木灰
石炭がら
クリンカ
廃棄物焼却灰
炉清掃排出物
廃カーボン
廃活性炭
コークス灰
重油燃焼灰
煙道灰
アルミ灰
下水道焼却灰
製紙スラッジ焼却灰
各種重金属含有焼却灰
その他焼却残さ
いずれも焼却後に燃え残ったものですが、何を燃やしたのかによって成分が変わります。
石炭火力発電ボイラーで石炭を燃焼させた際にできる石炭灰や、再生紙の製造過程で出てくる製紙スラッジを焼却する際にできる製紙スラッジ焼却灰など、燃やしたものや場所によってさまざまな種類があります。
そして、その燃え殻に含まれる成分によって処理方法やリサイクルの可能性も変わってくるのです。
そのため、燃え殻の成分をきちんと把握しておくことが重要です。
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燃え殻の比重

燃え殻の比重とは、産業廃棄物の体積を重量に換算するときの考え方です。
産業廃棄物の重量の計測が困難な場合は、その産業廃棄物の体積に産業廃棄物の種類に応じた換算係数を乗じて得たものを重量とみなします。
産業廃棄物の比重は、廃棄物の処理及び清掃に関する法律(廃棄物処理法)で定められています。
燃え殻の換算係数は、1.14です。
燃え殻が2.7㎥(立法メートル)ある場合は、
2.7×1.14=3.078
3.078トンの重量があると換算できます。
なお、種類ごとの体積の計測が困難な産業廃棄物については、その主たる産業廃棄物の種類の換算係数を採用して計算し、重量換算します。
燃え殻処理の現状

環境省の調査によると、令和2年度の燃え殻の排出量は2,059千トンでした。前年度は2,199千トンでしたので、若干減少しています。
ですが、平成16年度の排出量は1,935千トンで、20年前と比べてもあまり変わらない状況です。
また、産業廃棄物全体の排出量に占める燃え殻の割合は0.6%。全体からみると低めになっています。
排出された燃え殻の処理状況は、約72%が再生利用、6%が減量化、22%が最終処分という内訳です。
最終処分の22%というのは、他の産業廃棄物と比べて最も高い割合です。
低いものだと、動物のふん尿は0%、汚泥は1%となっており、全体の合計で見ても最終処分の割合は2%。燃え殻単体の最終処分率がかなり高いことがおわかりいただけると思います。
最終処分場に埋め立てられる量には限りがあるため、燃え殻の最終処分比率は今後引き下げられることが求められるでしょう。
燃え殻のリサイクル率を上げていけるよう、各企業が取り組まなくてはいけません。
参考:環境省資料「産業廃棄物の排出・処理状況等(令和2年度実績) 」「産業廃棄物排出・処理状況調査報告書 平成18年度実績 」
燃え殻の処理方法2パターン

産業廃棄物である燃え殻を処理するには、適切な方法で処理しなければなりません。
燃え殻の処理方法は大きく分けて以下の2つがあります。
埋め立て処理
リサイクル処理
ですが現状として、燃え殻は最終処分場で埋め立て処分されることが多いです。
埋め立て処理
埋め立て処理は最終処分の一種で、最終処分場で土の中に埋めたり、重ねたりして廃棄物を保管し続ける方法です。
燃え殻はフレキシブルコンテナ(※)などの容器へ収めた状態で、管理型最終処分場で埋め立て処理されるのが一般的です。
※フレキシブルコンテナ:ポリプロピレンやポリエチレンなどの柔らかい素材でできた折りたためる袋。フレコンバッグ、トンバッグなどとも呼ばれる。
ですが、燃え殻の中に重金属が含まれる場合は、管理型最終処分場には埋め立てられません。
有害物質が出てこないよう、コンクリートの囲いと屋根で周囲から遮断されている、遮断型処分場で処分されることになります。
遮断型処分場は数が少ない上に埋め立てられる量も限られているため、次に紹介する「安定化処理」を行ってから処分することも多いです。
安定化処理①コンクリート固化
コンクリート固化とは、コンクリートで燃え殻を固める方法です。
コンクリートに有害物質を封じ込め、有害物質である燃え殻が飛散するのを防ぎます。
ただし、廃棄物の容量としては増えてしまうため、処分場の処理能力は考慮する必要があります。
安定化処理②溶融処理
溶融とは、個体を1300~1700度くらいの高温で加熱して液体状に溶かし、減量化・無害化する処理です。
廃棄物の容量を大幅に減らせるのが大きなメリットになります。
溶融後に冷却すると、「溶融後スラグ」という黒いガラス状の物質が残りますが、この溶融後スラグは土木資材や建設資材などへリサイクルできます。
埋め立て処分になる廃棄物の量が減らせて、リサイクルもできるということで利点が多く、各地で導入が進んでいる安定化方法です。
リサイクル処理
燃え殻の中には、リサイクルができるものもあります。
単体で再製品化することは難しいですが、前述の溶融で残ったスラグを利用して、新しい資源として生まれ変わらせるのです。
具体的には、路盤材などの建設資材や土木資材、中間処理を施せば「リサイクル改良土」として再資源化することも可能です。
リサイクル処理はSDGsなど環境保護の観点から、今後ますます重要度が増してくると考えられます。
リサイクル率の向上は地球にやさしいのはもちろん、社会的な評価獲得にも繋がります。
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燃え殻のリサイクル方法

燃え殻の埋め立てによる最終処分率が高い原因の1つとして、リサイクルの難易度の高さが挙げられます。
燃え殻に含まれる成分によってリサイクルの可能性が変わってくる上、処理方法や取り扱いに関する法律も変わるのです。
有害成分が含まれているとリサイクルできず、特別管理産業廃棄物として扱う必要があるため、成分の確認が非常に重要になります。
燃え殻がどんなものにリサイクルできるのか、3つ例を挙げて説明します。
セメント原料にする
路盤材にする
再生土にする
セメント原料にする
石灰と粘土を主成分としている燃え殻は、セメントの原料としてリサイクルすることができます。
主な製造工程は以下の通りです。
集められた燃え殻に前処理(乾燥、金属の取り除き等)を行う
石灰石、鉄原料を加えて混合粉砕し、調合する
焼成する
石膏を加えながらミルで粉砕し、完成
リサイクルで作られたセメントは、産業廃棄物量を減らせるのはもちろん、セメント材料として使われる石灰石や粘土、珪石などの天然原料の消費量削減もでき、一石二鳥なのです。
路盤材にする
路盤材とは、道路の基礎として、道路表面から伝わる自動車等の荷重を分散して地表に伝える役割をもつ部材のことを言います。大きな車でも快適に道路を走行するために重要な役割を果たしています。
その路盤材として、前述した燃え殻の溶融処理(高温で加熱して液体状に溶かし、減量化・無害化する処理)の際にできた「溶融スラグ」が使用可能です。
一般廃棄物及び下水道汚泥由来の溶融スラグにはJIS規格(工業用の標準規格)が制定されていますが、産業廃棄物由来の溶融スラグはまだ適応範囲に入っていません。
燃え殻の路盤材へのリサイクルは、セメント原料のリサイクル同様、産業廃棄物量の削減と砕石等の天然資源の使用量削減にも貢献します。
同様に、溶融スラグを使用して建築資材へのリサイクルも行われています。
再生土にする
再生土とは、燃え殻・ばいじん・汚泥などの産業廃棄物に処理を施し、土砂と同様の形状にしたもののことです。主に埋め立て資材として利用されます。
再生土へのリサイクル処理は以下の流れで行われます。
収集・運搬する
燃え殻に特殊固化剤、水などを混ぜて造粒固化処理をする。 ※造粒固化処理:粉体や泥状物に結合剤・添加剤・固化剤などを加えて粒子を結合・固化させて粒子を大きくする処理のこと
工場内にて養生する
途中、品質保持のための検査も行われ、有害物質が含まれていないと安全性が確認できた上で使用されます。
その他、肥料や路盤材の下で舗装を支持する地盤となる路床材などにリサイクルできる燃え殻もあり、リサイクルできる種類や量は今後ますます増えていくものと思われます。
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青森県八戸市
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